サイレントフィルム taniguchip

■低予算でミュージックビデオを作る方法

今回まずやりたかったのはロケ。スタジオだとスタジオ費や照明費がかかります。
アーティストのメンバーが7人の少年たちだったので、広い空間でのびのびと
ダンスしてもらいたいと思いました。普段仕事でも自転車で移動しているので、
去年新木場のスタジオに行った時に、途中にある広大な公園に興味を持っていた
ので、築地から新木場を中心にロケハンをしたところ、夢の島周囲の公園でいろ
いろ撮影できるスポットを発見しました。自分としてはちょっとした発見だと
思っていたのですが、公開後すぐにツイッターでロケ場所が特定されていました。

悩んだのは、撮影をどうするかですが、直近の仕事であるアーティストの
ドキュメンタリー(メイキング)を自分でずっと撮影していたので、予算を考えて、
自分でやることにしました。カメラは何にするのか?最初自分の持っている一眼
デジカメを考えていたのですが、ワイドレンズと防振装置が付いていないので、
レンタルしようと調べてみたのですが、慣れるのに少し時間がかかり、思ったより
お金がかかると思いました。そこで思いついたのがソニーのハンディカム。
早速テストしてみると、防振のレベルが凄くなおかつ4Kで撮影できるので、
ギリギリの画質で撮影できることがわかりました。ワイドもアダプターをつけ
なくても、カメラのズームレンズで十分なワイド撮影ができることがテストして
わかりました。よく考えれば凄いカメラです。10万円以下です。レンタルだと
数千円です。でも大型カメラ店のビデオカメラコーナーはいつも閑散としています。

撮影のためにメンバーのスケジュールを2日間もらいました。天気の良かった
2日目に撮影しました。時期的にそんなに忙しくなかったこともあるのですが、
実は今回これが一番大きいです。忙しいアーティストは、なかなか天気予備は
もらえません。しかしあると、いろいろな可能性が出てきます。低予算の強い味方
です。余談になりますが、今まで超大物アーティストで撮影日が1日しかもらえな
いのにロケを敢行していました。クリエーターがロケしかできない企画をたててきて
撮影前日は夜も寝られないくらい心配していたのですが、ビッグなアーティストほど
不思議と晴れるので、妙な自信がつくようになって、ある時から「スターだから、
絶対晴れます!」と自ら主張して、率先してロケをやっていました。でも、今回
のアーティストにはそんな自信はありません。(失礼!) 実際2日のうち1日は
雨が降りました。

撮影で苦労したのは、ハンディカムだと、カメラの液晶モニターが小さくて
空が反射して何が写っているのかよくわからなくなる時が多々ありました。でも、
そもそもこのカメラは元々ファミリー用なので、運動会で撮影するお父さんも
同じ悩みがあるのではないかと、後でネットのレビューを見てみると、晴れの
日にモニターに何が写っているのかよく見えないという意見が多数ありました。
このことが改良されたからと言って、カメラが売れるとは約束できませんが。

あらかじめ、歌のどの部分はどこで何を撮影するかと細かく決めていて、
部分部分で撮影して、なおかつ自分がディレクターなので一瞬でOK出し、
やり直しをしながら、テイクを重ねていきました。編集の人は素材を見て、全ての
カットは1テイク程度と思っていたら、2〜3テイクあったので驚いたと言わ
れましたが、ワンオペだからこそできたことです。

編集は自分でやることも考えるのですが、ある程度自分で整理した素材を、
編集マンが第三者の視点で料理して頂くやり方が好きです。

EDAMAME BEANS " MIRAI"
  https://www.youtube.com/watch?v=f4jm1pf9FnA
撮影風景

自分のやり方は、技術と予算がなくてもなるべくたくさんの素材を撮影して、
被写体の良さを見つけるというやり方です。海外のMVで好きなのは、アーティスト
のパーソナリティがよくわかるタイプのMVです。以前HPで紹介したキリンジ の
「エイリアンズ」も同じ考えです。アーティスト に感情移入してほしいのです。

このMVのメイキングを見た人が、ジンバルで撮影していると思っていたら、
ハンディカム(民生機)で撮影していたので、もっといいカメラで撮影するべきだと
コメントしていましたが、いいカメラで撮影したら、セットアップに時間がかかって
撮りきれなかったと思います。そもそもメイキングを見ていなかったら、ハンディカム
かどうかもわからなかったわけで、いいカメラを使うべきだという意味がわかりません。

サイレントフィルム のHPの会社案内に、10億から10万までとあります。
CM、映画に関して言えば、数億規模の仕事を何本かプロデュースしたことがあり
ます。大きな予算の仕事を経験しないと大きな仕事はできません。でも、やりたい
ことをやるには予算は関係ないと思います。低予算は、スタッフの人数が極端に少ない
ので、3密をある程度避けることもできると思います。

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